前回は、スミスマシンとフリーウエイトを比較した記事を投稿しました。結論として、基本的にはフリーウエイト中心のトレーニングを行い、補助的にスミスマシンを使用したほうがよいとお伝えしました。
しかし、トレーニングはいつも同じ刺激ではいけません。刺激を変え、筋肉へのストレス応答を効率よく引き出すことが筋肥大には重要になります。
つまり、たまにはスミスマシンを使用し、筋肉への刺激を変えることも重要だということです。
そこで、最近は特に人気の部位である大胸筋上部の種目、スミスマシンインクラインベンチプレス、そしてインクラインベンチプレスもほとんどやり方は同じなので、やり方の解説していこうと思います。
ベンチの角度
ベンチの角度は背もたれの方は、一般的に30~45度程度だと言われています。大胸筋上部は鎖骨から上腕骨に付着していて、この筋繊維の走行(斜め上方向)に動作の向きを合わせてあげるためにベンチの角度をつけます。
つまり、個人の体格によって若干変わってきますので、自分が一番大胸筋上部の走行にマッチした角度にすべきですが、基本は30~45度です。(ちなみに私は30度程度です。)あまりにも角度をつけ過ぎるとショルダープレスのようになり、三角筋前部に主に効いてしまいます。
座面の角度は踏ん張り効かすためにをなるべくつけるようにしましょう。だいたい40度程度でよいでしょう。
ベンチの位置
次にベンチの位置ですが、ラックアップのことも考えて目の真上辺りにバーベルが来る位置にセットするのがいいでしょう。
もしやりづらければ多少前後してもよいと思います。ただラックアップ時にあまりにも頭側からバーベルを持ってくると肩のケガに繋がりますし、逆に肩の方過ぎると動作中にラックにぶつかったりしますので、最初に軽い重量で確認してから決めるようにしてください。
手幅や握り方
手幅は肩峰(肩の中心辺り)の1.5倍以内にしましょう。若干ベンチプレスよりも狭い手幅で行う方が多いようです。
あまりにも手幅が広いと、肩に無理な負担がかかるほか、大胸筋上部の走行と動作がマッチしないことにも繋がりますので意外と重要です。
通常のインクラインベンチプレスではサムレスグリップ(親指を外す握り方)で握るとバーを落とす危険性が増しますので推奨しませんが、スミスマシンであれば軌道が決まっているのでサムレスグリップでもできます。
ですが、それでもバーから手が滑ってしまうことも無きにしもあらずですので、やはりサムアラウンドグリップをオススメします。
バーを握る時は小指から握ってあげたほうが、力を出しやすくなります。
またハの字にバーを握ると前腕に重さを乗せることができますが、これを行うと肩が痛い方もいます。(脇が開きがちになるため。)やってみて合わなければ通常通りに握りましょう。
バーを降ろす位置
降ろす位置はスミスマシンであれば決まっています。基本的には鎖骨よりも下に降ろすようにします。(乳首と鎖骨の間程度。)
鎖骨辺りに降ろすと、脇の角度が広くなり肩に無理な負担がかかるほか、大胸筋上部の走行と動作がマッチしない可能性があります。
動作イメージは大胸筋上部狙いのケーブルフライです。
上の動画と同じで、動作をしっかり大胸筋上部の走行に合わせてあげることが重要です。他の方のインクラインベンチプレスを見ていても、この走行に合った動作をできていないことが多いです。
そしてもうひとつ重要なことは、動作中は常に前腕が床と垂直になることです。垂直でないと正しく上方向に力を加えることができません。特にスミスマシンの場合は垂直方向に力を加えなくてもバーが真上に上がりますので、注意しましょう。これができていれば大抵は脇が開かずに動作できると思います。
また胸につくまでバーを降ろす方もいますが、これはその方の肩の柔軟性にもよります。動作中肩が突っ張る方や肩のケガが心配な方は、胸まで降ろす必要はないと思います。
足の位置
インクラインベンチプレスでは、脚の力も有効に使うことで高重量を上げることができます。基本的には足の裏全体を床につけますが、体のほうにかなり引いて、かかとを床につけずに行う方もいます。
自分が一番踏ん張れる位置に足を置きましょう。
動作の手順とフォーム
- 5コンタクト(後頭部・肩・殿部・右足・左足)で身体を支える。(動作中は5コンタクトを保つ)
- 適切な手幅でバーを握り、肩甲骨をしっかり寄せる。(このとき肩をすくめない。)
- 足を一番力の入るポジションにセットする。
- ラックアップし、息を吸いながらバーを降ろしていく。
- 息を止め、一気に上までバーを挙げる。(血圧が高い方や初心者は息をはきながら挙げていく。)
- 動作を繰り返す。
上記の注意点をもとに1~6の動作を行うことができれば、質の高いインクラインベンチプレス、スミスマシンインクラインベンチプレスができると思います。
今一度自分のやり方を見直してみてください。