デッドリフトはビッグ3の中でも一番重い重量を扱うことができ、主に身体の後面(背中、殿筋、ハムストレングス)を鍛える優秀な種目です。私も好んでよく行います。
ただ、高重量を扱えるがゆえにフォームを乱すとケガのリスクがかなり高まります。フォームの乱れで一番やってはいけないのが腰が曲がることだと思います。
腰が曲がると腰椎にかなりの負担をかけ、ぎっくり腰や最悪ヘルニアなど腰の疾患にもなりかねません。そうなるとデッドリフトはもうできないばかりか、日常生活にまで影響を及ぼします。
そこで、デッドリフトで腰が曲がる原因と対処法を思いつく限り皆さんにシェアしたいと思います。
スタートポジションでバーが身体から離れている
バーが身体から離れるとバーと股関節との距離が長くなり、より腰に負担をかけます。また力もうまく出せません。
スタートポジションでのバーの位置は基本的に肩甲骨の真下で、かつ足の真ん中に位置するようにしましょう。
ハムストレングスの柔軟性不足
ハムストレングスの柔軟性が足りず、スタートポジションで既に腰が曲がっていることも考えられます。
よくハムストレングスのストレッチで腰を曲げるとより身体が曲がりますが、その現象がデッドリフトでも起こっています。
解決策としておすすめはデッドリフトの前にフォームローラーでハムストレングスをゴリゴリほぐすことです。そうすることで多少なりともデッドリフトの前にハムストレングスの柔軟性をアップすることができると思います。
ただ、デッドリフトを可動域をしっかり使って正しく行うことができれば自然とハムストレングスの柔軟性を上げることができると思いますので、重量を軽くしてケガのリスクを下げつつ行っていくことも大切かと思います。
よりハムストレングスの柔軟性を意識して行うことであれば、トップポジションから行うスティッフレッグドデッドリフトもおすすめです。その場合かなり軽めの重量で行うようにし、ハムストレングスのストレッチを感じるところで切り返すようにしてください。
ティッフレッグドデッドリフト(14:20辺りから)
重量が重過ぎる
これは一番ありがちなのではないでしょうか。確かにデッドリフトは重い重さを扱えますし、初心者のうちはどんどん重量も伸びますので、つい重量を上げすぎてしまう気持ちもわかります。
しかし、ケガをしてしまっては元も子もありません。腰が曲がらないでできる重量をかならず選択するようにしてください。
それは例えば5×5法であっても同じです。最終の5セット目の5レップ目がちゃんと腰が曲がらずにできたら次回から重量を2.5kgアップするようにしましょう。
腰が曲がったら潔く重量を落としてください。また、腰が曲がりそうになったらリフトしないでください。それくらいの潔さがケガを予防します。
大殿筋、ハムストレングスの筋力が弱い
腰が曲がると股関節へのモーメントアームが小さくなるため股関節伸展筋、つまり大殿筋やハムストレングスをあまり使わずにデッドリフトを行うことができます。
言い換えると、腰が曲がる方は大殿筋やハムストレングスの筋力が弱い可能性があるということです。
その場合は正しいデッドリフトができる重量に設定し、また大殿筋やハムストレングスを補助種目で強化するのもよいでしょう。
具体的な補助種目は、ストレッチポジションで大殿筋やハムストレングスに負荷をかけられるものが好ましいと思われますので、ブルガリアンスクワットや軽い重量でのスティッフレッグドデッドリフト、グルートハムレイズ、シーテッドレッグカールもストレッチポジションから行えるので、ハムの強化には良いかも知れません。
気になる方はYouTubeで検索してください。
腹圧がうまくかけられていない
腹圧をしっかりかけてお腹に力を入れることで、体幹を固めることができ、腰椎を守ることができます。
スタートポジションでしっかり息を吸い込み、動作中は息を止めたままです。バーが床に着いたら息を吐き、もう一度息を吸い込んで再度リフトします。
1回1回フォームをしっかり作って、息を吸い込んでから動作を開始するようにしてください。
腹圧をよりかけるためにもトレーニングベルトの着用をオススメします。
ただ、血圧が高い方や心臓疾患系のリスクを抱えた方などは、息を止めないほうが無難です。
そもそもフォームができていない
一応ある程度正しいフォームは理解している前提でお伝えしてきましたが、今一度正しいフォームを確認しておきましょう。
バーを降ろす時に腰が曲がる
バーを降ろす時に腰が曲がってしまう方は、ひとつの解決法としてポーズデッドリフトや床すれすれで止めてから挙げるデッドリフトが効果的かと思います。
ポーズデッドリフト(1:47辺りから)
床すれすれで止めてから挙げるデッドリフト(19:30辺りから)
なおこの床すれすれで止めてから挙げるデッドリフトは腹圧をかけるタイミングがトップポジションになり、通常のデッドリフトとは逆になりますので注意してください。
これらの補助種目を軽い重量で行うことにより、バーを降ろす時に腰が曲がることを防ぐことができるかもしれません。
その他にも、いろいろな原因が考えられると思いますが、今回思いついた原因と対処法を書き出してみました。
デッドリフトは優秀な種目であると同時に、ケガの多い種目でもあります。ぜひ正しいデッドリフトを多くの方に実践してもらいたいと思います。
正しく、きれいなフォームで行うデッドリフトは美しく、またかっこいいですよ。