糖質制限ダイエットとは、糖質源となるもの(主に米やパン、麺類など)をなるべく取らずに、体脂肪を落としていくダイエットのことです。
とりわけ糖質を限りなく少なくし、ケトン体を主なエネルギーとするダイエットを「ケトジェニックダイエット」と言います。
ケトン体とは簡単に言ってしまうと体内にある脂肪が代謝されることで生成される物質で、エネルギーとして使用することができます。ただ、通常糖質を摂取している場合はこのケトン体は血液中にはほとんど存在しません。
ケトン体は、主に体内の糖質が枯渇した場合に生成されます。つまり、ケトジェニックでは摂取する糖質をなるべく抑える必要があるわけです。
言い換えると、ほとんど糖質を摂ることができません。そこまでして行うケトジェニックダイエットの利点はいったい何でしょうか。
ケトジェニックダイエットのメリット、デメリット
一番のメリットは筋肉の分解を極力抑えることができるという点です。中途半端な糖質制限はケトン体を主要なエネルギーにすることができず、代わりに糖新生といって、体内のアミノ酸などから糖を作ろうとします。
筋肉はアミノ酸でできていますので、糖新生によって筋肉も分解されます。しかも身体にとって筋肉というのは各臓器よりも重要度が低いため、より糖新生の対象になりやすいのです。
体重をただ落としたいのであれば、緩い糖質制限で筋肉と体脂肪両方を減少させれば、体重の減りも早いかもしれません。
しかし、筋肉の減少により基礎代謝が下がるとリバウンドのリスクが増します。また、筋肥大を目的としてトレーニングを行っているアスリートやトレーニーなどには、筋肉の減少は致命的です。
ケトン体を主なエネルギーとして使用することができれば、糖新生を防ぐことができ、筋肉量を守ることができるでしょう。
また、中途半端な糖質制限は血糖値が低下し、エネルギー不足や空腹感にさいなまれることがよくあります。ただ、ケトジェニックの場合は脂質からエネルギーを生むことができるわけですから、それほどひどい空腹感に悩まされることもないようです。
筋肉量の維持、空腹感のコントロール、これらがケトジェニックダイエットの主な利点だといえます。
デメリットは、ケトン体がしっかり出るまでの間は、頭がボーっとすることです。また、単調な食事になりやすいので、食事に喜びを見出せなくなりやすくなります。
夜も何となく頭が冴えてしまい、寝つきが悪くなることもあります。
また、肉やオイル、ナッツ類やサバ缶などの必要量が多く意外と食費がかかります。
具体的な三大栄養素の割合
ケトジェニックダイエットの場合、1日の目標カロリーの60%は脂質、30%はタンパク質、10%の糖質に設定します。(このやり方が全てではありません。)
例えば、1日の目標カロリーが2,000kcalだとすると、脂質から1,200kcal=130g摂ることになります。タンパク質は600kcal=150g、糖質は200kcal=50gとなります。
上記の数値からもわかるとおり、タンパク質もさることながら脂質もかなり摂っていかなければいけません。
1日の目標カロリー、三大栄養素の割り出し方は以前の記事でも取り上げていますので、参考にしてください。
ケトジェニックダイエットでOK食材、NG食材
ケトジェニックダイエットは、基本的にタンパク質と脂質を大量に摂取しますので、基本的に食べてよいものは、肉、魚、卵、野菜類、ナッツ類、そしてオイルです。
乳製品も牛乳やヨーグルトなど糖質が含まれているもの以外は大丈夫ですが、乳製品を摂るメリットはあまりないとされていますので、食べる必要はないでしょう。
食べてはダメなものは、当たり前ですが糖質を含む食材です。
糖質の代表的なものは、穀類(米やとうもろこしなど)、パン、麺類です。これらはケトジェニックダイエットの場合、食べることができないと考えてください。
また、果物やイモ類、糖質が含まれているような飲み物(清涼飲料水)や食べ物も、ほとんど口にすることができないでしょう。
そのほかにも糖質が含まれているものは、極力避けるようにしないといけません。食材を選ぶ際には糖質が含まれているのか確認する必要が出てくるでしょう。
オススメの栄養素、食材
まず、主なタンパク、脂質源ですね。1日の目標カロリーにもよりますが、脂質を大量に摂らなければならない場合、選ぶべき肉は豚肉でしょう。豚肉はコスパにも優れ、鶏肉よりも脂質が多い傾向にあります。
また、ゆで卵は高たんぱくかつ脂質も含まれているので、持ち運びに便利です。そこまで目標の脂質量が多くない場合は、鶏肉がヘルシーでおすすめです。
脂肪酸として優秀なのがオレイン酸やオメガ3です。代表的な食材は、オリーブオイルやナッツ類、青魚です。
しかも青魚は同時にタンパク質も摂れるので、非常におすすめです。ケトジェニックダイエットの場合、サバ缶は常に常備しておきましょう。
そんなオレイン酸やオメガ3ですが、体脂肪の蓄積を抑えたりなど体重増加のリスクを下げる効果があります。
ただ、これらの脂肪酸は酸化しやすく、この酸化が健康に悪影響を与える可能性もありますので、ビタミンEもしっかり摂ってください。
ビタミンEはアーモンドによく含まれています。また、アボカドにも含まれていて、アボカドにはさらにオレイン酸も含まれています。手軽にサプリメントからの摂取も検討してもよいでしょう。
また、糖質源は食物繊維を含んでいるものが多いのですが、それらをほぼ取れません。つまり食物繊維が不足しやすくなります。
ブロッコリーやほうれん草、海草、キノコ類などの食物繊維が豊富な食材がおすすめです。アボカドも食物繊維が豊富です。また、多少の糖質が含まれてしまいますが、納豆も1日に1パック程度であれば、タンパク質と食物繊維が摂れ、さらに納豆菌により腸内環境を整えやすくなるのでおすすめです。
最後に中鎖脂肪酸です。中鎖脂肪酸は長鎖脂肪酸よりも10倍ケトン体を作りやすく、また体重減少効果も高い栄養素です。
おすすめ食材はMCTオイルやココナッツオイルです。ただ、ココナッツオイルは味やにおいにクセがあり、苦手な人もいます。
MCTオイルでしたらほぼ無味無臭ですので、何の料理にも合うでしょう。お腹を下さないように1日5gから始めてください。
また、水はとにかく大量に飲んでください。最低3リットルは欲しいところです。冷たい水は30mlで1Kcalのエネルギーを消費しますので、3リットル飲めればそれだけで100Kcal消費できるところも嬉しいポイントです。
その他におすすめの栄養素、食材を一覧で載せておきます。これらは主にサプリメントでの摂取がおすすめですが、余裕があれば程度に考えておいても構いません。
- BCAAまたはEAA
- αリポ酸(できればR体)
- アルギニン
- ケルセチン
- バナバ茶
- シナモン
- 亜鉛
- クロム
- カフェイン
最後に
いかがでしたでしょうか。
ケトジェニックダイエットは数あるダイエット法のひとつで、必ずケトジェニックダイエットでなければならないというわけでは決してありません。
人により向き不向きがあります。ただ、一度は試してみて自分に合うかどうか検証してみるものよいかと思います。